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【視点】所信表明演説 「反省」なき現実路線(産経新聞)

 菅直人首相の所信表明演説は「いのちを守りたい」などと理想や夢ばかり振りまいた鳩山由紀夫前首相の所信、施政両演説に比べ、現実的・実務的で好対照となっている。ただ、「強い経済」の実現など菅カラーを強調する一方、政権を引き継ぐにあたって前内閣の失政や問題点の総括と具体的改善策は示しておらず「反省なき再出発」との印象はぬぐえないものだ。

 「この挫折を乗り越え、国民の皆さまの信頼を回復する」。首相は、鳩山前首相が辞任で「けじめをつけられた」と話を簡単に終わらせた。これでは真の「信頼回復」につながらない。

 外交に関し、「『現実主義』を基調とした外交を推進すべきだ」と述べるのは、現実から遊離した鳩山外交の轍(てつ)は踏まないとの姿勢を示したとみられる。だが、韓国哨戒艦を撃沈した北朝鮮に対し、現時点で「国交正常化を追求する」というのは気が早過ぎはしないか。また、普天間問題で日米合意を踏まえると主張するのはいいが、停滞した現状をどう打開するかの具体策はない。

 教育問題に言及しない点も気になる。やはり演説で教育にあまり触れなかった鳩山内閣は、道徳教育の縮小など日教組の政策要求に押し流されただけに、新内閣でも懸念される。

 首相は「むすび」で、リーダーシップ発揮のため国民に「私を信頼していただきたい」と呼びかけた。鳩山前首相がオバマ米大統領と国民に「トラスト・ミー(信頼してほしい)」と訴えたのと、不思議と重なっている。(阿比留瑠比)

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